飴色。

 
 どうしても理解できない価値観がある。
 これはとても想像力溢れる例えだが、もし無限の富を手にしたとしたら、私は絶対に働かない。世界を旅行したり、本を読んだり、絵を描いたり、歌を唄ったり、散歩したり、もし家族ができたなら我が子を遊びに連れて行き、妻にできる限りの事をして、幼い我が子には絶対に大人のあの表情を見せない。仕事をしている時間を我が子と妻に捧げる事ができる。
 しかし、それでも仕事を続ける、と言う人々がいる。仕事に収入以上の価値を見出しているのだ。
 理解できない。他の方法を知らないのだろうか。我が子や恋人といるよりも仕事に魅力を感じるのだろうか。そうはなりたくない。なるなら死んだほうがマシだ、とまで思う。
 こう考えるのは、私がまだ職に就いたことが無いからだろうか。私が幼稚過ぎるのだろうか。